COLUMN 【作曲者インタビュー】 DAYLILY のブランドムービー音楽に込めたもの # Eri & Moe 👭 # ブランド秘話 👂 編集:深谷千尋 Bringing out inner beautify through Asian rituals <制作ノート> 今回のブランドムービーは、DAYLILY のアイデンティティである「二人の女性」と「百合の花」をメインに、DAYLILY のアイテムなどと幻想的な森で撮影しました。 ASIAN SUPER POWDER~Pre Moon Smooth~とともに 特にこだわったのは、音楽です。COO の Eri が、友人で作曲家の廖婉婷(リョウ・ワンテイ)さんにお願いし、オリジナルでつくっていただきました。 この曲を聴いたとき、 Eri は、「DAYLILY らしさとストーリー性のある、きれいな曲だと感じた」と言います。 Eri「最初の不安定なメロディには、前に進みつつも悩んでいる女性を感じました。そこへもう一つのメロディが入ったことで、誰かが一緒に歩いてくれているように。最後は明るい音で終わるけれど、きれいに終わる・着地する和音ではないので、これからの可能性を音楽に込めたのだと思いました。」 Eat Beau-Tea~Lovely Dayも登場 また、Kawano は、候補曲たちを聴いたときについて、「どの曲も、様々なアイディアを盛り込み論理的に作曲された、コンセプチュアルで特別なものだと感じた」と振り返ります。 Kawano「作曲については門外漢ですが、一曲の中で『心地よさ』と『実験性』を両立させるのは、とても高度なことなのではないかと思います。ブランドムービーで採用させていただいた曲は、繊細で、高音と中音で揺らいでる感じが、二人のモデルのキャラクターや儚さを表現しているようで、とてもいいなと思いました。」 Eri と Kawano が心を動かされた、DAYLILY のブランドイメージにぴったりの曲。一体どのようにつくられたのか知りたくて、作曲された廖さんにお話を伺いました。 廖婉婷(リョウ・ワンテイ) 台湾出身。国立台北芸術大学作曲科、京都市立芸術大学日本音楽研究科卒業。現在は、東京都内の楽譜出版社で働く傍ら、作曲を行う。 問い合わせはこちらへ 大切な宝物と夢 そもそも廖さんと Eri は、同じ高校の音楽科で学んだ友人同士。Eri はクラリネットを、廖さんは作曲を専攻していました。 廖さんは、その後台湾の大学を卒業し、京都市立芸術大学日本音楽研究科へ。日本の伝統音楽である祭囃子の一つ、祇園囃子の研究に取り組みます。 廖さん「2012年に観光で初めて京都を訪れ、祇園祭に参加しました。そこで祇園囃子を聞いたとき、ある音楽がずっと反復しているようだな、と思ったのですが、その脈略やルールがわからなくて。この謎を解きたい、という気持ちが研究のきっかけでした。」 2012年の祇園祭で廖さんが撮影したもの 研究では、祇園囃子の音楽構造を分析して特徴をまとめたほか、その結果を用いて新たな作品をつくったそう。 廖さん「研究のため、京都の祇園囃子団体に参加して、実際に祇園囃子を学んだり、お祭を手伝ったりしました。京都の人たちとの思い出は、留学生活の中で何よりも大切な宝物です。」 2019年の祇園祭で廖さんが撮影したもの その後、廖さんは修士課程を卒業し、都内の楽譜出版社で働き始めます。 Eri と食事をした際に、「何か一緒にできたらいいね」と話していたことから、今回、ブランドムービーでのコラボレーションが実現しました。 廖さん「依頼されて、純粋にうれしかったです。Eri ちゃんがやっていることは、日本と台湾の架け橋のようなことで、それは、留学などで台湾から日本へ来ている人たちが抱く夢の一つです。なので、わたしの創作で Eri ちゃんの夢を応援できることを、とても光栄に思いました。」 三つのスケッチと、意外な結果 作曲の依頼があったとき、Eri からは、「ブランドムービー用に、DAYLILY っぽさのある曲をつくってほしい」とだけ言われ、音楽のスタイルなどについて、細かな指示はなかったそう。そこで廖さんは、三つの曲をつくり、Eri と Kawano に提案します。 廖さん「そのうち二つは、Kawano さんが制作した映像を見てつくりました。 Eri ちゃんがクラリネットの演奏で音楽に参加するというアイディアをもらっていたので、そこを意識したり、日本の民謡や祭囃子でも使われる五音音階を使ったりしました。この音階は、台湾の伝統音楽でも使われているんです。そこへ西洋音楽の調性を掛け合わせ、『アジアっぽさ』を減らした曲を提案したのですが、Eri ちゃんがとてもおもしろがってくれました。『古い、と敬遠されているものも、アレンジすることでおしゃれになるよね、DAYLILY に通じるものがあるね』と。」 そして、残るもう一つが、ブランドムービーで使用された曲です。この結果は、廖さんにとって意外なものでした。 廖さん「個人的に一番好きな曲でしたが、映像を見ずに、DAYLILY に対するわたしの印象・直感でつくったので、この曲が選ばれることは期待していなかったんです。Eri ちゃんと Kawano さんも、選んだ曲が映像を見ずにつくったものであることに驚いていました。結果を受けて、やはり創作において直感は大切だなあ、と思いましたね。」 作曲するということ ブランドムービー音楽のもとになった、DAYLILY への印象と直感。それらを、廖さんはどのようにして「曲」にしていったのでしょうか。 廖さん「わたしは、DAYLILY のブランドカラーのオレンジに躍動感を感じています。また、台北にある一号店の白を基調とした店内が印象的で、透明感のあるブランドだな、と思っていました。」 台北にあるDAYLILYの一号店。白を基調とした店内に、ブランドカラーのオレンジが映える。 廖さん「そこでこの曲は、全体を高音域に設定して透明感を、連綿と続く音の動きで躍動感を表現しています。また、ブランド名の DAYLILY にちなみ、「ドレミ……」を英語にした際の D の音(レ)と A の音(ラ)から曲を始めました。」 廖さん「DAYLILY がそうであるように、この曲で、頑張っている女性たちに癒しをお届けできたらいいな、と思ってつくったので、ブランドムービーを見た方たちが、癒されたり、励まされたりしたらうれしいですね。」 頑張っている女性たちへの思いや、DAYLILY への印象・直感を、曲という形で表現する。それがどういうことなのか、作曲について素人のわたしにはまったく想像できませんでしたが、廖さんにお話を伺って、その方法がほんの少しわかったような気がします。 作曲という表現や廖さんの思いについて知ったことで、ブランドムービーをより深く理解できましたし、他の音楽を聴くときも、これまでとは違った視点を持ってたのしめそうです。 このブランドムービーをたくさんの方に見ていただけますように、そして、廖さんの思いや DAYLILY のことが伝わりますように。ブランドムービーへのご感想は、ぜひ、Twitter や Instagram で教えてくださいね。