COLUMN

【DAYLILY Talk 01】DAYLILYが生まれるまで 第3回

編集:深谷千尋

DAYLILY代表小林百絵と、アートディレクター河ノ剛史によるトークイベントを編集ダイジェスト版でお届けする連載、第3回です。

【DAYLILY Talk 01】DAYLILYが生まれるまで 第1回
【DAYLILY Talk 01】DAYLILYが生まれるまで 第2回

話はいよいよデザインへ。河ノがDAYLILYのデザインをする際に掲げているミッションや見ている景色、DAYLILYの強みだと感じている点とは。

それぞれのミッション

河ノ
もえさんとえりちゃんには、漢方というライフスタイルを広めるというミッションがあると思います。しかし、わたしは二人と違って、もともと漢方に興味があったわけではなく、このプロジェクトを通じて漢方を知り、興味を持つようになりました。

わたしがDAYLILYというブランドについて考える時には、二人が欲しいと思える漢方をデザインするというミッションに加え、女性が活躍できるプラットフォームをつくるという、もう一つの裏ミッションがあります。

もちろん二人が最初の登場人物ではありますが、今では開発チームやショップスタッフ、初期の頃からDAYLILYを応援しプロダクトを使ってくださっている方々など、たくさんの人達がDAYLILYに加わり、DAYLILYを通して表現したり、発信したりしています。

なので、わたしがデザインをする時、まずはもえさんとえりちゃんのためなのですが、そのデザインは、結果的に二人の視線の先にいるたくさんの人たちに届くと信じています。

写真サンプル

小林
初めて河ノさんがデザインのパターンを出してくださった時、すごく感動したことを覚えています。
「こういうことがやりたいんだー!」っていう感じで投げたら、それをただそのままやるのではなくて、一度拡大して、分解して、咀嚼して、それからデザインのパターンを出してくださった。
それだけですごく感動しましたし、だからこそ、絶対に妥協せずに、自分たちが欲しいと思えるものを選んでつくっていきたいなと思いましたね。

写真サンプル

小林
デザインのパターンを出していただく時、こういうブランドが好きだとか、こういう雰囲気のものにしたいとか、こういう人たちに届けたいとか、いろいろなやり取りをしましたよね。

河ノ
そうですね。
一緒に百貨店さんに行って、「これいいよね」とか「この質感いいよね」とか。それは感覚的なことなので、もう時間を共有するしかなくて。一緒にいろんなものを見たり食べたりしながら、お互いの好きなものを探っていきましたね。
そこから、今のスケールで現実的に何ができるか、制約の中で考えていきました。

見ている景色

河ノ
DAYLILYのパッケージデザインについてですが、抽象度が高いです。

写真サンプル

河ノ
これを普通の会社で提案したら、「これじゃ漢方だと分かんないじゃないか」とか、「台湾も日本も関係ないじゃないか」とか、「もっとベネフィットとか押せ」みたいなことを言われると思います。

こういうことを言う方々は、店頭での情報、つまりパッケージだけでの訴求を考えているんですよね。商品の機能がわかりやすく表記されていたり、中身の写真が載っていたり、そういうパッケージデザインを求めている。その商品が売り場に並んだ時に他の商品に負けないような、強い視認性を求めているんです。

よって、「店頭に抽象度の高いパッケージがあると、十分に訴求できないだろう」と言われてしまう。それはわかっています。
じゃあ、わたしたちがパッケージデザインを考えている時、どの風景を思い浮かべているのかというと、普段の生活や、毎日持っている物です。例えば、ポーチに入っていて変じゃないものであるべきだろうと。

写真サンプル

河ノ
なので、店頭で分かりやすいことも重要ですが、それよりも、毎日の生活に取り入れて齟齬がないものをと考えてデザインをしています。

強み

小林
あとは、幅広い世代の方にいいと思ってもらえるパッケージデザインにしたいともお願いしていました。
最初のころは、「DAYLILYは女の子のためのブランド」という感じの言い方をしていたんですが、将来的には、女性の一生に寄り添えるブランドになりたいと思っています。
なので、どの世代の方にも欲しいと思ってもらえる、気分が上がると感じてもらえるデザインを探していましたよね。

河ノ
そうですね。
パッケージデザインってなかなか難しいもので、キャラを立てればいいってものではない。特徴を強くしていけばいくほど、他の持ち物との相性だとか、そのデザイン自体に飽きちゃうとかいった弊害が出てくる。逆に、無個性だと目に留まらない。その塩梅がすごく難しいですね。

写真サンプル

河ノ
あと、その瞬間はよくても、時代が変わればズレてくることもあります。

例えば今、老舗のファッションブランドは、ロゴタイプをクラシカルで雰囲気があるセリフ体から、モダンで少し無機質なサンセリフ体に変えています。バーバリーとかバレンシアガとか。それは、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイでの見え方とか、個々が発信する時代にあっての再現性だとか、時代と共にメディアが変わる中で起きている変革です。

なので、例えばDAYLILYのロゴも、今後変わることがあっていいと思っています。時代を追従すればいいってものではないですけど。

その瞬間瞬間で信じられるもの、適正なものへとデザインを変えていく。
DAYLILYはデザイナーと創業者との距離が近いので、時代性やムードに合わせて柔軟に変化していける強さがあると思っています。

写真サンプル

河ノ
もう一つDAYLILYの強みだと思うのが、デザインの全てのパートを我々が見ていることです。
デザインは、ヴィジュアルアイデンティティ、プロダクトデザイン、空間デザイン、アートディレクションという要素で構成されます。デザインは、これらを統合して一枚の絵を描くようなことです。

写真サンプル

河ノ
でも、組織の規模が大きいと、これらのパートが別々な部署によって担われてしまう。そうすると、デザインをする、みんなで一枚の絵を描くという時に、それぞれのタッチが違う、という問題が起こったりします。

あとは、デザインをする時の時系列が、スライドの左から右へとなっちゃうんですよね。

写真サンプル

河ノ
シンボルからつくっていってそれを展開させていくっていう、直線的で不可逆な、なんというか少し男性的で旧来的なプロセスです。

DAYLILYは、デザインの全てのパートを我々が見ているので、それぞれのパートを行ったり来たりしながら、プロダクトができていく。

DAYLILYのデザインにはそういうプロセスがあります。

つづきます

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